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次に顕著になった健康被害が「ぶらぶら病」なのです。はじめの頃はノイローゼとよく間違えられました。今では、原発事故後に「ぶらぶら病」被害が出ることもわかって、海外でも認知されるようになりました。

 「ぶらぶら病」は、被害者家族の命名です。広島に駐屯していた日本軍の兵士が終戦後に故郷に帰る。九死に一生を得た人が、30分も農作業できない、倦怠感で立っていられない、働けない、という状態になります。被爆後の街の瓦礫除去作業などに従事した人たちです。

 いまでも、ふつうの人の疲労や倦怠は、そのメカニズムはわかっていません。人や医者は、経験的に疲労を、そしてそれが休息によって回復することを知っているだけなのです。

 ですから当時、「ぶらぶら病」の人たちは病気とは見なされませんでした。仮病とかナマケ者とみなされてしまったのです。家族の人たちは「うちのお父さん、広島に行ったらナマケ者になって帰ってきてしまった」ということで、「ぶらぶら病」と言われたのです。

 私たち現場の医者は、はじめ病名をつけられませんでした。はじめの頃は抵抗して「原爆病」と言っていましたが、それを死亡診断書に書くと埋葬許可がおりないのです。死亡診断書に書ける死因は、国際的な標準があって、それに外れるものは認められないのです。やむをえず、一時はちがう名前をつけていました。

 私が診た顕著な症例は新潟の男性です。倦怠感には波があって、突然、急激に襲ってきます。健康被害者は、ヒバクしたことを中々あかしません。生命保険にも入れないし、就職や結婚にも差し支えます。診察の際に医者の前にきてようやく、ヒバクしたことを医師にだけ告げるのです。その男性もそうでした。


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